事例モデル
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IT-ADRセンターでは、システム開発トラブル、プログラム著作権問題、セキュリティ問題など、すべてのIT分野における紛争解決を行っています。新しい審理技法を駆使し、3カ月の集中的審理により、システム開発を継続しながら紛争解決を図ることができます。小規模の紛争や複雑でない紛争の場合、3カ月以内の解決期間を設定する場合があります。逆に、すでに開発が頓挫していて短期解決の必要性がない場合は、余裕のある審理期間を設定する場合もあります。
例1
準備手続1回+審理期日1回(計2週間コース)
「3年間3次に分けて、Webを活用した基幹システムのリプレース、開発費6億円。1次開発の要件定義確認工程で、ベンダがCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の導入は受託範囲外であり、追加経費が1,600万円必要であると主張し、受託範囲内であると主張するユーザと紛争となり話し合いでは解決がつかなかった。開発は始まったばかりであり作業を中断する訳にはいかない。しかし、客観的な判断が無ければベンダもユーザも納得できない。そこで両者合意により調停としてIT-ADR申立がなされた。」
「F・ADR委員長が準備手続において、両者から提出されていた資料を確認したところ、システム開発委託契約書には、受託業者が受託し作成した前工程であるシステム化基本計画が開発対象範囲の資料として添付されており、また本工程においてベンダの担当SEが基本計画書に基づいて作成したCMSについての要件定義確認書が存在することが確認された。そこで、F委員長は、両者に対して、客観的資料に基づく判断が早期に可能であることを告げ、一回の審理期日で判断を示すので、その判断に従うこと(仲裁合意)を勧めた。3日後に両社から仲裁合意の成立が告げられ、一週間後に判断が示されて解決した。」
例2
準備手続2回+審理2回+集中準備手続3週間+審理3回(3カ月コース)
「20年来の付き合いがある現行ホストシステムの開発運用ベンダが、8,000万円で現状分析を受託し、脱ホスト(Web化)によるリニューアル(費用10億円、開発期間2年半)を提案、受注し、基本設計工程を終了し、1年半後の詳細設計工程の途中で、ベンダからユーザへ突然に開発範囲の拡大により追加費用30億円、納期の2年延期が必要と告知、ユーザはその納得いく説明がないとして拒否、一旦開発作業はストップした。双方トップが話し合い、このままこのプロジェクトを空中分解させることは双方にとって経営戦略上マイナスであり、プロジェクトは進行させる、との認識で一致した。とはいえ事柄の重大性から短期間で共通認識を形成する必要がある。そこで、このようなニーズに唯一合致する紛争解決機関であるIT-ADRセンターに、共同で調停を申立てた。」
「S・ADR委員長が、各2回準備手続を実施したところ、争点は、開発対象範囲が拡大したかどうか、拡大した部分があるとしたらそれはユーザ・ベンダのどちらの責任かに絞られるが、機能が膨大(約3,000)であることから、S委員長の他にシステム開発経験が豊富な専門ADR委員3名でIT-ADR委員会を構成し、システムドキュメントを用いての事実確認作業であるので、双方の代理人弁護士は参加可能な範囲で参加することで了解を得て、3週間、昼間は開発作業を再開継続しながら、ほぼ連日午後6時~9時に、ユーザのシステム担当者・ベンダーの担当SEとIT-ADR委員会で集中準備期日を実施し、ドキュメントを解析した。その結果『拡大部分はあったが、ベンダが主張していた量の3分の1であること』『その拡大部分について、ユーザ責任のものとベンダ責任のものとは1:1であること』について共同認識が形成された。さらに『ベンダ側の現状分析担当SEとリニューアル担当SEとの間でのコミュニケーションミスにより5億円の見積もりミスがあったこと』が発覚した。これらを踏まえてIT-ADR委員会は次のような和解案を提示した。『①ユーザの責めに帰すべき開発対象範囲拡大分として5億円追加する。②見積もりミスの5億円については開発を円滑に進めるためにはユーザができる限り認めてやることが望ましい。至急双方で協議するように。③ベンダとして、突然の申出によりプロジェクトの円滑を害しないように、契約の中に『変更管理条項』を組込むこと』。この和解案を受けて、双方で協議を重ねた結果『②についてユーザが全額契約の変更を認める代わりに、納期については、ベンダの努力により6カ月遅れの範囲で納めること、③については覚書を締結する』ということで、和解を成立させることとなった。審理期間は3カ月であった。」